次世代医療・iPS細胞治療研究センター:Ki-CONNECT(診療科名:早期医療開発科)は、2020年4月に開設された新しい教室です。
分子生物学の発展とともに多くの生命現象が解明され、 “治る” 病気が増えてきました。一方で、原因がわからない、治療法が確立されていない、長い療養を要する、根治が難しい、といった病気もまだ多く存在します。
新しい治療薬・治療法が効率的に臨床試験の中で検討され、かつ有効性を証明していくためには、基礎研究と臨床試験の橋渡しとなるトランスレーショナル・リサーチや、より早期でのヒトでの投与データを用いた研究が重要であると考えられています。しかしそのような研究結果をもとに、効率的かつ継続的に新薬を生み出しているプラットフォームは世界中のどこにもありません。
我々は、がんなどに対する臨床試験や前臨床試験、トランスレーショナル・リサーチを多く行ってきた経験を活かし、がんや難病の根治を目指した超早期探索的臨床試験を恒常的に立案・実施できる早期医療開発プラットフォームを構築していきたいと考えております。幸い京都大学には多くの世界に誇る研究者がいます。その成果は早期医療開発において強い武器となるのは間違いありません。CiRAをはじめとする学内の研究室やクリニカルバイオリソースセンターなどとのコラボレーションにより、早期医療開発にscientific creativityを付加することが、我々の存在価値であると考えています。
さて、早期医療開発においては、いかなる有害事象、いかなる疾患領域にも対応しうる臨床能力が必要とされます。また、がんや難病で苦しむ患者さんに寄り添う全人的なケアが求められます。我々は、京大病院のモットーでもある “for the patient” のポリシーを貫き、京大病院の診療科、職種を超えた強固なコラボレーションのもとに臨床開発を実践できる医師を育成していきます。
一人でも多くの患者さんに、より早く、より大きな希望が与えられるよう、教室員一同、日々努力を重ねてまいります。
次世代医療・iPS細胞治療研究センター
(Ki-CONNECT)
教授/中島 貴子
Prof. Nakajima Takako
略歴
平成10年3月 | 横浜市立大学医学部 卒業 |
平成12年5月 | 神奈川県立足柄上病院 内科 医員 |
平成14年6月 | 国立がんセンター中央病院 レジデント |
平成17年4月 | 同 がん専門修練医 |
平成19年4月 | 国立がんセンター東病院臨床開発センター リサーチレジデント |
平成19年10月 | 国立がんセンター中央病院 消化器内科・外来化学療法科 医員 |
平成22年7月 | 聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座 講師 |
平成24年4月 | 同 准教授 |
平成28年4月 | 同 教授 |
令和2年3月 | 京都大学医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター 教授 聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座 客員教授 |
令和2年6月 | 京都大学医学部附属病院 早期医療開発科 診療科長 京都大学医学研究科 早期医療開発学分野 教授 |